2015年11月27日

雪山で遭難したら「寝るな!寝たら死ぬぞ!」と言われる理由と凍死の原因

雪山の画像

雪中行軍演習にでた部隊210名が、全員山中で遭難するという実話をもとに製作された映画がありました。
吹雪のなかを彷徨うシーンがひたすら続く、見ているだけで寒くなってくる映画です。

この映画でたびたび登場したセリフが「寝るな!ここで寝たら死ぬぞ!」というものです。
雪山でのこんなセリフは結構有名なようで、この映画を知らない人でも聞いたことがある人は多いようです。

だから、冬山はもちろん、登山なんてしたことがない人でも、冬の山で遭難したら、絶対に眠ってはいけないことくらいは知っているものです。
むかしから万国共通の雪山遭難時の鉄則となっているのです。





昔の人は、この「眠ったら死ぬぞ!」というのをたんに経験からそう教えてきたようですが、もちろん、この教えには立派な医学的根拠があるのです。

人の体は、極度の寒さにさらされると、血圧が下がり、同時に血液中で酸素を運ぶ働きをしているヘモグロビンが酸素とガッチリ結びついて酸素を手放さなくなります。
こうなると、中枢神経や呼吸器系など、体内のあらゆる組織に運ばれる酸素量が減ってしまいます。
そのために意識が薄れ、全身の感覚が鈍くなり、いわば全身マヒに近い状態におちいってしまうのです。
もっとも、人間はそれだけで即、死んでしまうというようなことはないのですが、もしもこの状態で眠ってしまうと、いってみれば麻酔がシッカリかかったときと同じ状態になります。

それに、雪山でなくても、人は起きている時より眠っている時のほうが体温が下がってしまうのです。
全身を流れている血液が温かいのは誰でも知っていることだと思いますが、人間が体温を保つにはこの血液の流れが不可欠なのです。
もし、大量出血で体中の血液が外に出てしまったら人の体温は急激に下がってしまいます。

出血でなくても、この血液の流れは変わり、興奮状態といういわば、交感神経が活発なときほど血液を送り出す心臓の働きは活発になり、体温は上がります。
逆に落ち着いていくにつれ、副交感神経が活発になって体温は下がっていくのです。
そして、最も副交感神経が活発になり、交感神経がおさえられる状態が睡眠です。
つまり、人は眠ると心臓の働きが弱くなり、血液の流れがゆるやかになって体温が下がるのです。
これが雪山なら体は完全に冷え切ってしまい、凍死するのみです。





つまり、疲れた体を休めようと、ほんのちょっとだけ眠るつもりだったのが、朝になって、運よく救助隊が近くまでやってきて、大声で呼んでも決して目が覚めない、という事態になってしまうのです。
これでは、みずから助かる機会を逃しているようなものです。
結局は、眠っているうちに体力がつきて、凍死ということになってしまうのです。

ただ、これは冬山にかぎったことではなく、夏山でも、標高の高いところでは気温がぐっと下がりますので、同じことが起こりえます。
ましてや日の落ちてからの寒さといったら想像上のものですから、注意が必要です。

死にたくないならば、眠くなっても我慢し、たとえ自分の体を傷つけてでも、目を覚ましつづけておくことが必要です。

また、雪山で遭難した経験のない人はわからないと思いますが、むしょうに喉がかわいてどうしようもなくなる場合があります。
そんなとき、水分たっぷりの雪を食べてしまう人がいるのです。
しかし、これはNG行為で、冷たい雪は体内から熱をうばい、凍死を早めてしまいます。




posted by アク at 19:29| Comment(0) | 健康の知識
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: